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  <title>竜の眠る地</title>
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  <description>DQ主達の記録</description>
  <lastBuildDate>Thu, 26 Sep 2024 14:45:55 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
  <copyright>© Ninja Tools Inc.</copyright>
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    <item>
    <title>Lv.15:返り討ちにあった。</title>
    <description>
    <![CDATA[「本当に行くのですか？　なんか物騒ですよ！」<br />
　武器と防具屋で揃えて準備は万端。<br />
鋼の鎧（2400G）に鉄のオノ(2500G）を己に揃えてほぼ最強装備と言って良いだろう。<br />
アキドには悪いが己のお古である鉄の鎧を渡した。<br />
あとは薬草も持てるだけ持った。<br />
地道な聞き込みも済んだ。<br />
まあ、聞き込みをしたからこその尻込みとも言うかもしれない。<br />
<br />
　ヤダヤダと、叫ぶピエロを見ていた戦士が笑いながら言った。<br />
「砂漠の北にピラミッドと呼ばれる王家の墓があるそうだ」<br />
　ピラミッドはただの建物じゃなくて、王家の墓。<br />
つまりはこの地を作ったフアラオ王が少なくとも眠っているだろう。<br />
「ほらほら、王家の墓ですよ！　罰当たりです！！」<br />
　しかも既に色んな輩に荒らされているらしいので既にお宝はない可能性もある。<br />
「そんなの魔法のカギを取らなきゃ始まらないでしょ！」<br />
　結局行けるところに星降る腕輪が見つからなかったことでアキドが少しご機嫌斜めである。<br />
否応なしに行くぞとせっつく。<br />
<br />
　そもそもその魔法のカギも既に我が父オルテガが手に入れていたりしてと思考の片隅で思う。<br />
アキドが怖くて言うに言えない。<br />
<br />
「勇者よ。大丈夫じゃて行ってみる価値はあるぞ」<br />
　ゼトにポンッと肩を叩かれにやりと笑われる。<br />
（爺さんオレの心を&hellip;）とか考えてる場合じゃない。<br />
「ほら、ピエロ諦めていくぞ！」<br />
「ひえぇぇぇぇーー」<br />
　ピエロを引きずるのも慣れてきた。<br />
この時の己を罵声りたい。<br />
ピラミッドの本当の恐ろしさをまだ知らなかったんだ。<br />
<br />
　巨大なレンガブロックで見上げても見えない四角錐を作り上げた過去の偉人は何を思ってコレを作ったのだろうか？<br />
昔は黄金に輝いていたと言われるそれは嘗ての栄光の象徴だった。<br />
今では魔物が闊歩する危険地帯でそこに眠る財宝を巡り熾烈な争いが起こっている。<br />
入り口は整備されており、ようこそと言うように柱で支えられた口がぽっかりと開けている。<br />
扉はない。中はサイドをレンガブロックで覆われており少し狭く、真っ直ぐに伸びている。<br />
まっすぐ行った先で十字路の真ん中を踏み抜いた瞬間、床が崩れて下へと落ちていった。<br />
「いったーい！」<br />
　想定外の落とし穴に嵌り、尻を強か打ちつけたアキドが叫ぶ。<br />
床は何やら柔らかいクッションのような柔らかさでダメージはなかったが、そのクッション代わり物の正体を知り背筋が凍る。<br />
「何ですかここは！！」<br />
　屍という骸がそこいらに落ちている。<br />
不気味を通り越してもはや絶句し過ぎて声が出ない。<br />
「勇者よ。気をつけるのじゃ。ここは魔法が使えぬぞ」<br />
　ゼトが呪文を唱え見せる。<br />
発動するものの形になる前、瞬時に不思議な力で掻き消された。<br />
「マジかよ」<br />
　つまり脱出呪文のリレミトが使えないと同意である。<br />
そんな死屍累々のこの場でもモンスターは出現する。<br />
いや、出現するから死屍累々だと言えるかもしれない。<br />
【ミイラおとこ】その名の通り、黒い人型の魔物が包帯でぐるぐるまきの状態で襲ってくる。<br />
巻かれた包帯の隙間から覗く眼光が怪しく蠢く。<br />
柔軟な体をクネらし、人間ではありえない方向に歪む関節を駆使し、柔軟に鞭のように襲いくる。<br />
幸い直ぐに出口を見つけたが、瀕死の時にあそこへ落とされたら終わりである。<br />
<br />
　気を取り直して二つ目の十字路の中央を避けて直進し、左に曲がる。<br />
そこには少し広くなっており、宝箱が三つ置いてあった。<br />
「なんか怪しくない？」<br />
　人が多く出入りできる、入り口にまだ近いこの場所。<br />
アキドは眉を顰める。<br />
「まあ、中身はからっぽかもな」<br />
　お気楽に答える。それもその筈、ここに来る前に最初の十字路から左右に伸びていた通路の行き止まり、そこにあった宝箱には案の定何も入っていなかった。<br />
だからこその油断、不用意に開けたのが運の尽き。<br />
襲い来る宝箱型のモンスター【ひとくいばこ】である。<br />
<br />
「これはまずい！」<br />
　腕を引き抜き、体制を整えようとしたが、長い舌を振り回し、大きく口を開けて襲い来る【ひとくいばこ】に太刀打ちできない。<br />
入り口近く、無駄に多い宝箱。まさに危険性を認知できなかった。<br />
魔法が効かない状況、傷を回復するための薬草も所持していないこの状態で、襲い来る痛恨の一撃。<br />
気が付くと、そこは教会で棺桶の中だった。<br />
<br />
「生きている？」<br />
　初の全滅。ピラミッドを舐めていた。<br />
己の後ろに並べられている棺桶。己の勇者特典がこの死をなかったことにしてくれている。<br />
「生き返せるか？」<br />
　すがるように見つめると、目の前の神父は静かに目を閉じる。<br />
「生き返らすのに230Gかかるがよいか？」<br />
「&hellip;&hellip;お金」<br />
　己の財布は装備を新調したことにより、もともとそこまで持っていなかった上に、追い打ちをかけるように所持金は半分なっている。<br />
「なんと、寄付をするにはお金が足りないではありませんか！　おぉ、カミよ！　許したまえ！　こんなに貧乏な人に無理な寄付を頼んだ私が、悪かったのです！」<br />
　大げさに嘆き悲しみ、天を仰ぐ神父はお金がないを何もしてくれないだろう。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;畜生」<br />
　特典があったとしても、世の中は金でしか解決できないことになっている。<br />
待ってろよ神父！<br />
　<br />
　金を稼ぐにはモンスターを倒すしかないが、今自分は一人だ。<br />
しかし、アリアハン周りのモンスターは大した金額を落とさない。<br />
かといって、ピラミッド周囲は再び全滅するのが目に見えている。<br />
己の魔力ではルーラはそんなに回数を唱えられない。<br />
節約するには実家に泊まるしかない、なので、帰りの魔力を温存しておかなければいけないので、回復を頻回にしなくてよくて、それなりの金額を落としてくれる場所&hellip;&hellip;。<br />
<br />
　脳をフル回転して効率よく稼ぐ場所はカザーブの村と決める。<br />
所持金がたまり次第、順次蘇生していく。<br />
そう決意をして、ルーラを唱える。<br />
「オレのために犠牲になれ――！！」　<br />
　鉄のオノを振り回して、襲い掛かる。プライドを捨てた勇者の末路である。<br />
<br />
「大変じゃったのう」<br />
　最初に確保するは戦力より魔力ということで、稼ぎの時短とルーラ要員であるゼトを最初に蘇生する。<br />
その分自分の魔力を回復にまわせるので、一日で稼げる金額が上がる。<br />
そこからは、アキド、ピエロと順番に蘇生に成功する。<br />
「初めて、やられたけど、結構生々しく残るもんだね」<br />
　両手を見てから、顔をたたくアキド。<br />
「わかってはいましたが、最後であることにちょっと複雑です！」<br />
　少し丸まりながら不貞腐れるピエロ。<br />
「宝箱が偽物なんて聞いてないよぉー！！」<br />
「難攻不落のピラミッドですよ！　怪しさ満点です！」<br />
　無事に何ともなくしゃべる二人に泣きそうになっていたが、のんきな二人のやり取りに首を振ることで引っ込める。<br />
「それよりも、今後について考えた方がよいじゃろうなあ」<br />
　その言葉に身を引き締める。<br />
<br />
　久しぶりに入り浸っている実家。<br />
何も言わず受け入れてくれる母は、全員がそろったときに目を細めてちょっとした御馳走を作ってくれた。<br />
「オレは何時になったら自立できるんだろう」<br />
　小さくため息つきながら、自室で作戦会議である。<br />
「魔力が使えん部屋がある時点でわしはお荷物じゃなぁ」<br />
　顎の髭をなでながら、ゼトは思案する。<br />
かと言って、薬草係に徹するにはあまりにも心もとない。<br />
一応必殺の毒針はあるものの確率は低い為、難儀ではある。<br />
「ねね、じゃあ。ここに帰ってきてるんだし、明日ルイーダの酒場に行こうよ！」<br />
　なんか妙案が浮かぶかもと言うことで今晩は解散になった。<br />
<br />
「えー！　勇者様もう旅だったですかー！」<br />
　ルイーダの酒場に入ろうと入り口の扉を開けたとき、見知らぬ武闘家の少女が酒場の店主であるルイーダに詰め寄っていた。<br />
「勇者様御一考の中に師匠はいませんでした？」<br />
　何かを確認しているようだが、勇者本人である己なので、この討伐メンバーに武闘家の師匠がいないのはわかっている。<br />
彼女には申し訳ないが、通り越し苦労である。<br />
「そんなあ、教えてくれないんですね。うぅ」<br />
　ルイーダの声は相変わらず聞こえないが、この町では一応有名人である勇者と言えども、守秘義務は発生するらしい。<br />
「取り込み中のようじゃな。ふと思ったんじゃが、宿屋におる戦士はどうじゃ？」<br />
　余計なことを考えているときにゼトにより提案された。<br />
商人に雇われていない時はいつも宿屋で護衛をしている戦士のことだろう。<br />
「ハンソロか、一度、商人のメンバーから抜けたんだな」<br />
　魔法が使えないゼトは申し訳ないが薬草係となってしまう。<br />
それよりも、攻撃力もあるし、防御力もある戦士がいてくれる方が心強い。<br />
ダメもとで相談してみよう。<br />
勇者一行は宿屋に足を運ぶことにした。<br />
<br />
<br />
　勇者Lv.15、パーティ交代を目論む。]]>
    </description>
    <category>DQ3</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq3/dq3_15</link>
    <pubDate>Fri, 27 Sep 2024 14:00:00 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>希望の光を探し求めて</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
　イシの村には大地の精霊がいる。<br />
姿を見たものはいないが、日々の感謝の中にその存在を垣間見ることがある。<br />
<br />
　幼き頃からイレは精霊がもたらす恵みに感謝するように教わって来た。<br />
穀物が育つこと清き水が枯れずに村へ流れゆくこと、大樹が生死を司るのならこの精霊は育みをもたらしてくれている。<br />
<br />
<div style="text-align: center;">我ら　イシの民<br />
大地の精霊と共にあり<br />
<br />
大地の精霊よ<br />
イシの村に　もたらす恵み<br />
その全てに感謝せん</div><br />
　イシの村の奥、神の岩の入り口にある石碑。そこに書かれている文言は幾度も読み記憶していた。<br />
「ロウ祖父ちゃん？」<br />
　ロウはその石碑の側で祈りを捧げるように跪いていた。<br />
「イレか、もうなんとも無いか？」<br />
　イレが起きたことはムウレアの女王様かカミュが知らせてくれたのであろう。<br />
　一度、目を伏せてから嬉しそうに笑ってくれた。<br />
イレはそれに小さく頷く。それを見てポンポンと腕のあたりを優しく叩き、また笑う。<br />
本当に心配ばかりをかけてしまった。あの時の崩れ落ちるロウの姿が今でも目に焼き付いている。<br />
時を戻ったとことは後悔していない。<br />
ただ、罪悪感も一生消えることはないだろう。皆の成長を&hellip;&hellip;立ち直り、前へ進む意思を潰したのだから&hellip;&hellip;。<br />
「ロウ祖父ちゃんはどうしてここに？」<br />
「&hellip;&hellip;ある調べ物をしとってな」<br />
　神の岩を見上げるロウ。イレもつられてそちらを見る。<br />
「幾多の地上絵が描かれておる。長年謎に包まれていた。ワシはな、この大地の精霊は大樹より作られたのではなかろかと思っておる」<br />
　何故大樹とは別に作られたのか、それは神話の時代、聖なる竜が破れ、世界が破滅したという。<br />
その時大樹とは別に生まれた一つのかけらが成長し、そして大地を緑豊かにする精霊となったのではないか。<br />
幾度となく神の里へ赴き情報を整理した時、この神の岩こそ希望ではないかと言う結論に達した。<br />
「とは言え、物言わぬ精霊にどうお伺いを立てたら良いか、悩んでおるところじゃよ」<br />
　視線をイレに戻しまた微笑む。イレはロウの言う意味が悟れず首を傾げるしかない。<br />
何の希望だろうかと、何かまだ不可解なことがあるのかと、まだ世界は平和になっていないと言うのだろうか。<br />
「そう言えば、何か用があったんじゃないのか？」<br />
　そうだった。ペルラからご飯ができたことを伝えるように言われていたのだ。<br />
ロウに言われてそのことを思い出す。<br />
<br />
「そうかペルラ殿には随分と世話になってまったのう」<br />
　ロウとペルラには、イレと言う共通の愛するものがいる。<br />
そのことでとても良い関係を持っていた。<br />
涙ながらに語らう苦悩と感謝、家族の温もりを再び思い出せる憩いの場、苦しくもあり暖かいそんな場所である。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　ロウがしばし物思いにふけった後、顔を上げれば、イレは別の方を向いていた。<br />
その表情にロウは声を掛けるタイミングを失った。<br />
<br />
　イレが見ていたものは、イシの村で見かけたことがなかった時の化身の姿が見えたからである。<br />
手を伸ばしても触ることができない存在、近寄ればフッと姿を消す幻。<br />
<br />
「ちょっと、イレ。こんなところにいて大丈夫なんでしょうね！」<br />
　第三者の声、その声は幼さの中に芯があるしっかりした口調。そうベロニカだ。<br />
イレもロウもその声のした方を向き、そこに旅の仲間全員が揃っていることに驚きと笑みが溢れる。<br />
いの一番に駆けつけつけてくれた嬉しさがこみ上げた。<br />
「その様子だと、大丈夫そうね。心配したわ」<br />
　優雅な足取りで素早く近づいたのはシルビアだ。そのままイレを包み込む。<br />
「ごめんなさい」<br />
　嫌がることなく受け入れるも擽ったさに眉が下がる。<br />
「ホントよ。皆んなパニックになっちゃって、面白いことになってたのよ！」<br />
　心配ないことを察して、スッと距離をとったシルビアがイレが倒れた後のあの状況を思い出し報告する。<br />
「ちょっと、シルビアさん。そこは言わないでよ！」<br />
「そうだぞ！　ゴリアテお前だってアタフタしていただろう！」<br />
　ベロニカとグレイグが反射的に反論する。それを見てクスリと笑うセーニャ。<br />
彼女自身はいつ何時もマイペースである。<br />
「まぁまぁ、心配したことは事実なんだし。でもね。イレ&hellip;&hellip;そろそろちゃんと話して欲しいの」<br />
　興奮する二人をなだめて、マルティナは切り出す。主語のないその言葉。<br />
何を指すかわからないはずのイレが息を飲む。<br />
真っ直ぐに見つめられるそれは全てを飲み込むように熱く鋭かった。<br />
言葉が出ない。誤魔化すことも笑うこともできない。<br />
「悪いな。オレら自分で調べちまった。お前がどんな覚悟でここ&hellip;この世界にいるかをな」<br />
　カミュの言葉が全てであった。<br />
<br />
　全てのパズルピースが埋まる感覚。キッカケは些細な違和感、そして広がる歪。<br />
その先の平和。イレは皆が語るこの結論になった経緯を静かに聞いた。<br />
打ち明けられなかった真実。<br />
何も考えてなかった。救えるかもしれない命を救いたいと言う感情一つだった。<br />
諦めたくない。<br />
<br />
「イレ、アンタはバカだけど、あたしを、世界の人の多くを再び救ってくれたわ。もう一度お礼を言うわね。イレ、ありがとう。アンタが勇者でよかったわ」<br />
「私からも言わせてください。危険を冒してまで、お姉さまを救ってくださりありがとうございます」<br />
　互いの手を組みニッコリと微笑むベロニカとセーニャ。<br />
<br />
「イレ、悲惨な出来事を回避して、デルカダールの人を多くの人を救ってくれてありがとう。そして、私の心を守ってくれてありがとう」<br />
「それは俺からも言わせてくれ、俺の過ちは小さくなかったそれを最小限に食い止めてくれて感謝する」<br />
　胸に手を当て力強く微笑んでくれるマルティナとグレイグ。<br />
<br />
「多くを失った後から笑顔を取り戻すのは大変だわ。それを未然に防げたんだもの、きっとアタシの夢が叶う日は近いわ。イレちゃんありがとね」<br />
　ウインク一つして笑うシルビア。<br />
<br />
「マヤの体があれ以上、酷いことにならなかったし、罪悪感の塊に成らず、元気なのはイレのおかげだ。俺の心も軽くしてくれてサンキューな」<br />
　腕を組んだままだが、少し照れ隠しのように視線を外しつつ笑うカミュ。<br />
<br />
「イレ、ワシはこんなにも立派に育った孫を持てて幸せじゃよ」<br />
　何度でも何度でも笑ってくれるロウ。<br />
<br />
　溢れる涙が止まらない。拭いても拭いても流れ出る。ずっとずっと我慢してきた。<br />
自分は勇者だから、泣き言は言えない。みっともない姿は見せられない。<br />
人は恨んじゃいけない。諦めてもいけない。<br />
いつのまにか憧れは使命となり、力は成すべき役割となり、志しは責務となっていた。<br />
溢れ出る懺悔、心の奥で叫んでいた唯一の後悔。<br />
仲間が全て知った今、奥底に留めておくことができない罪悪感。<br />
今この時が巻き戻らない世界、その意味はただ一つ。<br />
<br />
「ダメなんだ。ボクは自分の我儘で、セニカを時の渦に落としてしまったんだ」<br />
<br />
　奪われることも移すこともできない勇者の力を安易に譲ってしまったばかりに、時渡りを失敗したセニカは輪廻の外側へ追いやってしまった。<br />
<br />
「大丈夫じゃイレ。可能性はゼロではない」<br />
「でも、この世界が、この世界であることがセニカを救えていない証拠になるじゃないか！」<br />
　笑みを崩さずロウは笑う。<br />
「大丈夫じゃ、落ち着きなさい」<br />
　孫を救えるのは今である。最後の難関、大地の精霊とコンタクトを取る手段だけが足りない。<br />
頼みの綱は数々の奇跡を起こした勇者の力である。<br />
<br />
「大地の精霊を我が勇者に安寧を！」<br />
　ロウがイレの左手を掲げるように上げ、皆が祈りを捧げる。<br />
唐突に始まった儀式、それに反応するように失っていた勇者の紋章に光が灯る。<br />
<br />
「私を呼ぶのはお前たちですか？」<br />
　聞き慣れた声に聞き慣れぬ口調が辺りに響く、後ろを振り返るとエマが時の化身を抱いて立っていた。<br />
<br />
「エマ？」<br />
「今、皆とコンタクトを取るため、この体を借りています。私は大地の精霊ルビス、大樹より生まれ出でし存在。今までイシの村に加護与えていました」<br />
　幼馴染の存在が異質に光る。<br />
<br />
<br />
導き出したカケ。]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-9</link>
    <pubDate>Thu, 01 Feb 2024 14:54:46 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>目覚めの朝は眩しくて</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
　暗い海の底、思い出すは母親の言葉。<br />
絶望の中で思い描く縋りたい希望。<br />
ウラノスは何故魔王となったのだろう。<br />
悪魔の囁きに手を染めてしまったのか&hellip;。<br />
彼を許すことができているだろうか？<br />
<br />
　全ての行動に訳があり、その訳はそれまでの歴史の積み重ね。<br />
邪神が滅ぶことがないように勇者もまた討伐するために生まれる。<br />
儚き輪廻。<br />
ぼくは良き勇者になれたでしょうか？<br />
<br />
<br />
「う&hellip;み？」<br />
　ゆっくりと開いた眼に映る風景。<br />
パクパクと口を動かし出た言葉はそれである。<br />
散りゆく魚々にデジャブを感じ、ぼんやりした脳を一気に覚醒へと引き上げる。<br />
魚の姿でこの地にいるということは、世界がどうにかなってしまっているのではないか。<br />
嫌な感覚が襲い魚の姿で出せる最大速度で上昇、王女の住まう貝殻の形を模した玉座へ向かう。<br />
<br />
「よっ！　漸く目覚めたな」<br />
　その玉座で出迎えたのは水色の自慢の髪を逆立てた元盗賊、現勇者の相棒であるカミュ。<br />
彼の姿を見た瞬間混乱していた状況から打破し、少し落ち着く。<br />
大丈夫、今はあの時じゃない。<br />
<br />
「安心しろ、命の大樹はなんともないし、ウルノーガもニズゼルファも復活してねーよ」<br />
　イレの思考に覆いかぶさるように発せられたカミュの言葉。<br />
どうしてそれをと言語が操りにくい口をパクパクと動かす。<br />
その姿に気づいたのか、玉座にて傍観していたムウレアの女王が壊れずに済んだ杖をイレの方へ向ける。<br />
「その様子だともう大丈夫ですね。魚の姿の方が可愛いけれども、今の貴方には不便でしょう」<br />
　パアッと光がイレの体を包み弾けた時、何時もの人間の姿になっていた。<br />
一通り確認した後、カミュに方を向き、困惑の表情のまま訴える。<br />
「待ってくれ、オレ達は順番にここでお前の目覚めを待っていたんだ。まさか三ヶ月掛かるとは誰も予想できなかったぜ」<br />
　ポリポリと頭を掻きどう説明するかと思案している。<br />
「みんなは？」<br />
「元気だぜ。世界は邪神の影響がまだ少し続いていてよ。シルビアのおっさんは城の領域外での魔物の対策に精を出してるぜ。なんでも世直しパレードだとよ」<br />
　あの衣装が気に入ったのか変な衣装着たナカマを募って、プチャラオ付近を練り歩いていると言う。<br />
何故かその話を聞いて涙が出そうになった。<br />
クレイグとマルティナも兵を出しつつ、周囲の警戒、グロッタの町と連携を取り、対策を行なっている。<br />
グロッタ、カジノに姿を変えた町。<br />
さらにセーニャはダーハルーネ、ベロニカはホムラの里でそれぞれ活動していると言う。<br />
片時も離れることが無かった双賢の姉妹が、バラバラなのかと少し息を飲む。<br />
共にずっと一緒だと思っていた二人が互いの距離を取っている。<br />
あの時みたいに&hellip;。<br />
「オレはマヤとクレイモラン周囲の警戒がてらそこにいたが、それが落ち着いて、先日からここに様子を見に来たってとこだ」<br />
　眠っていた間の時を埋めるように、仲間の近況を報告してくれる。<br />
「ロウ祖父ちゃんは？」<br />
　唯一名前が出なかった最も近い身内の存在。<br />
カミュは少し視線を外し、言いにくそうに腕を組み直し、真っ直ぐ見つめなおす。<br />
「&hellip;お前が目覚めない原因を探ってる。いや、探ってたか、ありとあやゆるってやつだな。今はイシの村にいるぜ」<br />
　そうか、心配かけてしまったと言うことか、克服したつもりだったが、恐怖を拭い去れていなかったのかもしれない。<br />
傷のない胸元に手を添える。<br />
「痛むのか？」<br />
　その心配そうに覗き込まれて慌てて首を横に降る。<br />
これはカミュの言葉を借りると罪の意識だと思う。<br />
<br />
「そうか、なら行けるか？　イシの村へ」<br />
　イレの心理には触れず、次の目的地を告げる。<br />
イレが静かに頷くと、カンと杖をつく音が聞こえ、視線をあげるとムウレアの王女がにこやかに笑みを蓄えていた。<br />
「ならば、皆に知らせておきましょう。イレが目覚めたと、イシの村に行くと」<br />
「助かるぜ」<br />
「全ては大樹の導き、よく頑張りましたね」<br />
　全てお見通しと言うように、出来なかったことや手放したこと、覆す為に一度時を巡り最後まで成し遂げたこと、それらを全て含めた激励の言葉のようにイレは感じた。<br />
「ありがとうございます」<br />
　短く礼を言い。ルーラを唱え懐かしい故郷へと飛び立った。<br />
<br />
<br />
「イレ！　もう、ちっとも帰ってこないんだもの心配したわ。でも元気そうでよかった」<br />
　イシの村で出迎えてくれたのは、犬のルキと幼馴染のエマであった。<br />
「おばさんも心配してたわ。顔を見せてあげて」<br />
　久しぶりの村を案内するように駆け出す。<br />
やや、状況が飲めず目を白黒させていると、カミュが忘れていたというように、耳打ちする。<br />
「悪りぃ、あんまり心配かけたくないから、細かい事情を説明してなくて、お前も邪神の影響が残っているモンスターの討伐に引っ張りだこってことにしてた」<br />
　漸くエマの言葉の意味を理解したので、頷く。<br />
すでに復興が終わっている村は、昔となんら変わりないように見えた。<br />
知ったる道を歩き、幼少から住んでいた家に足を踏み入れる。<br />
相変わらずシチューの匂いは格別だ。<br />
キィと扉の軋む音が木霊する。<br />
「おや、今日は早いお帰りで&hellip;って、イレ！？　無事だったのかい！　怪我は？　痛いところはないかい？」<br />
　母ペルラには事情を説明しているらしい。<br />
振り向きざま目を丸くし、持っていたオタマを投げ捨て、イレの全身をくまなくチェックする。<br />
「うん。大丈夫。どこも何ともないよ」<br />
「そうかい。なら良かった。ロウ様から事情を聞いた時は、勇者だからとは言え、心配したよ」<br />
　優しく包み込むように抱きしめられて、例え血は繋がっていなくとも、自分はペルラの息子でいいのだと安堵を覚える。<br />
「どうしてこんなことになったのかねー」<br />
　漸く解放されて、シチューのことを思い出したペルラは手放したオタマを拾って、支度に戻る。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　こうなってしまった原因を説明することは憚られた。<br />
なぜなら、それはイレ自身の我儘で、さらに言えば失敗してしまった可能性があるからである。<br />
三ヶ月眠りこけていた。<br />
そこまでの時間がかかっていたにも関わらず、時の巡りが何も変わっていないのだ。つまり、セニカは勇者ローシュを救えていないのである。<br />
となると考えられるのは、セニカが時の渦に巻き込まれてしまったと言うことだ。<br />
時の番人になり遥か時を過ごしただけでなく、魂が輪廻から外れてしまったと考えるのが妥当である。<br />
イレの我儘でセニカの心を&hellip;。<br />
何とかしなくては&hellip;。<br />
握った拳が悲鳴をあげる。<br />
<br />
「イレ、イレ！」<br />
　ペルラの呼びかけにハッと意識を浮上させる。<br />
何だろうと見返すと小さくため息をつき、もう一度説明してくれた。<br />
「もうすぐ、ご飯ができるから、ロウ様を呼んで、きてくれるかい？」<br />
　実の孫が漸く起きたのだ、共に飯を食べたいだろうと言うことである。<br />
昔から忙しくても家族揃って食卓を囲むのが流儀であった。<br />
トレジャーハンターであった今は亡きペルラの父、テオが最終的に大切にしていた教訓である。<br />
「そう言えば、ロウ祖父ちゃんはどこに？」<br />
　カミュ曰く、イシの村で調べ物をしていると言う。<br />
イシの村に祖父の興味を引くようなものがあったのかと、疑問に思いつつ尋ねる。<br />
<br />
「あぁ、あの方は大地の精霊の石碑におられるよ」<br />
<br />
<br />
振り返らぬ勇気。]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-8</link>
    <pubDate>Sun, 02 Jul 2023 14:00:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">r3dqxxx.game-ss.com://entry/38</guid>
  </item>
    <item>
    <title>勇者に絡む楔を嘆いて</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
<br />
「え？　どう言う事！？」<br />
　ダーハルーネの町に戻ったロウ達は、宿屋に寝ている彼の姿がないことに驚く。<br />
そして宿屋の主人からの言伝を貰い、アリスが待つコンテナへと足を早める。<br />
「ムウレアの女王ちゃんが一体どう言うことかしら？」<br />
　伝言は『ムウレアにて待つ。船で来られたし』である。<br />
ベロニカ達は既に合流して向かっているとのこと、確かにケトスの移動は船より遥かに速いのでこちらが遅くなったのは致し方無いが、意識外からの乱入に考えが追いついていないのだ。<br />
<br />
「兎に角向かいましょう」<br />
　マルティナは行ってみないことにはどうにもならないと、焦る気持ちを落ち着かせて来た道を戻る。<br />
それに頷きロウとシルビアも続く。<br />
<br />
　ムウレアに行くには海の中を行かなければならない。<br />
何度目かわからないが、船が包まれた泡の中でフワフワと人魚により誘導される姿は何とも言えない摩訶不思議な光景である。<br />
『お待ちしていました』と人魚が出迎え女王の元へ連れて行かれる。<br />
謁見の間に登るとそこには神の民に情報収集に行ったベロニカ達とグレイグがいたが、イレの姿はない。<br />
「イレは？」<br />
「&hellip;魚になって下で寝ている。その方が負担が少ないらしい」<br />
　神妙な顔つきでカミュが理解できる現状を伝える。<br />
「どう言うこと？」<br />
　そんなに深刻なことになっているのだろうか。<br />
眉を顰めてロウの方を見る。<br />
どう言うことかロウにも分からないのだろう。<br />
同じく眉を顰めて首を横に振る。<br />
「イレ様は勇者の力を失った為にそれまで押さえ込まれていた反動が一気に戻って来たようなのです」<br />
　セーニャによる曖昧な返答。<br />
一体何を押さえ込まれていたと言うのだろう。<br />
「帰った直後ぐらいか。急に町の人達が騒ぎ出して、何事かと飛び出したら魚人族がいたんだ。ダーハルーネの人は初めて見たらしく魔物と勘違いしていた」<br />
　カミュの説明に納得する。<br />
確かに特異な事がない限り、出会う事が無い種族であろう。<br />
一つは海底と陸で住み分けされているし、もう一つナギムナー村での悲劇の一端もあることから、極力避けている節もある。<br />
<br />
「落ち着かせて、確認したら其奴らはイレを探していたらしく、見つけざまにここに連れてこられたと言うわけ」<br />
　ベロニカがよく分からないけどと、ここまで来た経緯を説明してくれた。<br />
しかし、女王様からはまだ何も聞いていない。<br />
一同の視線が玉座に座るムウレアの王女の方へと向かう。<br />
「私も全てを知っているわけではありません」<br />
　視線を浴びた女王は静かに首を横に振り、悲しそうな表情をする。<br />
「何か思う事があって、イレを導いてくれたんじゃろ？」<br />
　ロウの言葉に首を縦に振る。<br />
「彼は胸に大きな傷を負っています。いえ、胸に傷を負う記憶があると言う方が正しいでしょう」<br />
　女王が言うには記憶というものは厄介なもので、本来受けていないはずなのに幻覚などで、自らを傷つけてしまう。<br />
彼はさらに現実で起こった痛みの記憶があり、幻覚より厄介なものとなる。<br />
幸いその傷は完治した後である為に治療に適した魚の形で眠っていて貰うとのこと。いつ目覚めるかは定かではない。<br />
「なぜ、そのように断言できるのかと疑問に思うことでしょう。ただ私が言えるのは、歪んだ時は何れ自己修復をするという事です」<br />
　これは幾年も積み重ねた時の歪みの修正。<br />
時が短い人間には気づく事が難しい長い長い時間をかけた修復。<br />
<br />
「イレの胸元の傷か。どう考えてもあの時だよな」<br />
　女王に通された客室で一同は集まり、思い出すは経験した事がない絶望への入り口。<br />
勇者の力を手に入れた魔王ウルノーガにより、大樹が朽ちて落ちた災厄の日。<br />
勇者の力を奪うためにウルノーガに貫かれた胸の負傷、それが今再び起きたという事だろうか。<br />
「待って、勇者の力は失った事以外。共通点がないわ」<br />
　マルティナの言葉に皆が一様に惑いが多く、一度共通の認識を持つために、集めた情報を整理するために意見を出し合った。<br />
<br />
<br />
「つまり、お主達はイレの力なくして、見たのか？」<br />
　想像以上の出来事に目を丸くするロウ。<br />
徐々に蘇ると憶測で考えていた【未来】の記憶が唐突に蘇ると言うのだ。<br />
「映像を見たと言うより、その時のことを思い出したって感じだ」<br />
　唐突すぎてよく分からなかったカミュは改めて確認されて天を仰ぎ、あの時の状況を思い描く。<br />
あれは無くしていた記憶がハンマーに殴られたようにガツンと戻るという感じである。<br />
前後の繋がりが曖昧でその部分だけが鮮明に思い出すという感じである。<br />
「何がきっかけじゃ？」<br />
「読んだ本について考えている時だったわ」<br />
　憶測で確証がない考えも交えてロウに相談する。<br />
元々人の記憶というものは曖昧で確認する人がいない場合ボロボロと欠落して行く。<br />
残るものも正確な情報ではなく不確かな感情。<br />
楽しかった、苦しかった、嬉しかった、辛かった。<br />
思い出は美化され心に留まる。<br />
<br />
「成る程ねー。だからベロニカちゃんの考えでは、時折見える体験してないのに蘇る記憶は時の化身ちゃんに知らず識らず触れているってことなのね」<br />
　成る程、時を巡るとそこに溜められていた記憶が散らばる。<br />
そして化身となり、世界を彷徨う。<br />
それに触れることでその記憶が蘇ると言うことである。<br />
「でも、ベロニカちゃん。時の化身ちゃんってイレちゃんが時を巡る前からずっといるのよね？」<br />
　シルビアは顎に人差し指を当てて、こんがらがる現状を何とか整理しようと唸る。<br />
「つまり、イレちゃん以外にも時を巡っている人がいるってこと？」<br />
　考えうるはセニカ。<br />
最古の昔へと時渡をし、そして歴史を変えた。と考えられる。<br />
「何度も歴史は修正されていたと言うのでしょうか？」<br />
　誰もが知らぬ間に世界は何度も巡っていたと言うのだろうか。<br />
セーニャの言葉にベロニカは首を横に降る。<br />
「あたしもそうだって思いたいわ。でもね。ローシュの死は変わっていなかったのよ」<br />
　神の民の話に違いはない。<br />
これが正史、変えられていない。<br />
それともムウレアの女王が言う歪んだ時が修復された結果だとでも言うのだろうか。<br />
「セニカちゃんは戻ったけれども、歴史を修正できなかったってことかしら」<br />
　イレのように変える起点の時に巡れず、ローシュを助ける事ができなかったと言うのだろうか。<br />
「だったら、ローシュと成就してないのは、巡ってもできなかったってことよね。それは辛すぎるわ」<br />
　マルティナはキュッと自身の腕を抱き締める。<br />
悲しみを覆すことできず、再び失う命。<br />
<br />
「収集される時があるじゃろ。そう忘却の塔に登る時の化身じゃ」<br />
　忘却と言う名の塔。<br />
その塔は何故そう言われているのか。<br />
陸の孤島にある塔は人知れずそこに立っているからか、いや、こうも考えられる。<br />
「&hellip;セニカはあの時、時の化身によって時の番人にされていたわ。あたしの推測が正しかった場合。考えたくないけど、既に彼女の時間は失われているの。言うなれば彼女自身が記憶の媒体、勇者の力で過去に行けたとしても彼女自身じゃないのよ」<br />
<br />
　時を失くしたものが集う場所。<br />
それが忘却の塔。<br />
<br />
「そうじゃ、例え孫が時間を遡ってここにおるとしてもそれは、そうあるべきことじゃったということになる」<br />
「ロウ様もしかしてロミアのことですか？」<br />
「姫様、そのロミアとは？」<br />
「あぁ、そうね。グレイグは知らないわね」<br />
　モンスターに襲われているところを助けた人魚。<br />
彼女を身を呈して守っていた男、キナイ。<br />
しかしそのキナイと言う男はロミアが愛した男ではない。<br />
血の繋がりもない。<br />
「私にはもう一つ記憶があるの。ロミアが泡となって消えた記憶よ」<br />
　マルティナの記憶には、彼女に嘘をついてその場を立ち去った記憶ともう一つ、正直に言って絶望したロミアが泡となって消えていく記憶。<br />
「それもその一つじゃろう。それが女王の言う修正された時じゃ」<br />
　ロウの肯定により、マルティナ以外にも同じような記憶があることが確認できた。<br />
「ちょっと待って、じゃあイレちゃんはアタシ達が思っているより前に戻っていることになるわよ」<br />
　あらやだと想像以上に過酷な状況に口を抑える。<br />
「本人に聞かんとそこは分からんが、恐らく自分が過去に戻ったと自覚したのがあの時じゃったのかもしれんな」<br />
　聖地ラムダで、知らない間にふらりと出て行ったあの時、魔王の剣を手にした瞬間から、大きな物事を回避するため、自らの意志により違う選択肢を、皆が多く生き残る道を選んだのだ。<br />
「勇者の力ってのは本当に厄介だぜ。でも大体は整理できた。俺らが次に何をしなけりゃいけないかもな」<br />
　パチンと拳で逆の掌を叩き、全て理解したと立ち上がる。<br />
「アイツばかりにいいカッコはさせねーよ」<br />
「セニカ様が救われる方法を探しましょう。必ずあるはずだわ」<br />
　カミュにマルティナも同意する。<br />
目的が決まれば、あとはそれに向かって走ればいい。<br />
「そうよね。世界中が笑顔になっても、身近な人が悲しむ何てことになってたら本末転倒よ。全員が笑わないとね」<br />
　世の中そんな絵本のお伽話のようにめでたしめでたしで終われないことは分かってはいる。<br />
しかし、それではイレがセニカを救いたいと願ったことが無駄だったということになる。<br />
それを知ったイレがそのまま諦めるとは思えない。<br />
「全く勇者の導き手も楽じゃないわね」<br />
「まあお姉様ったら、とても生き生きされてますね。私も頑張りますわ」<br />
　ここまで来たのだ。<br />
勇者が満足するまで付き合ってやると気合いを入れる。<br />
情報はゼロじゃない。<br />
これまでのことを鑑みれば自ずと見つかる。<br />
ベロニカもセーニャもそう確信した。<br />
「俺は勇者の盾であり続けると誓った。邪神がいない今でもそれが必要であるなら貫くまでだ」<br />
　新たに心が一つとなった皆に涙を浮かべてニッコリと微笑むロウ。<br />
「イレよ。ワシらは幸せじゃな」<br />
<br />
<br />
未来へと導く勇気。]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-7</link>
    <pubDate>Mon, 27 Mar 2023 14:00:00 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>今ある幸を噛み締めて</title>
    <description>
    <![CDATA[<br />
　神の民の里に着いた三人は直ぐ様長老の所へ行ったが、懇々と眠っており収穫ゼロである。<br />
勿論、ローシュとセニカのことは他の二人と共に、伝わっていることは多い。<br />
しかし、その後を知っている人は少なく、セニカが無謀なことをした感情だけは理解できた。<br />
<br />
「ローシュとセニカは恋人同士だったのよね」<br />
　共に並んだ像にはお揃いのバングルが並んでいる。<br />
熱烈なローシュを想う詩を残した程だ。<br />
少なくともセニカからローシュへの愛はとても深い。<br />
二人の仲を語られる度に最後の切ない末路に遣る瀬無さを伴う。<br />
過去は変わっていないのである。<br />
つまり、イレが倒れる前に懸念していたことが良く分からないのである。<br />
それにセニカはどこへ行ったというのだろう。<br />
<br />
　ベロニカの手には一冊の本がある。<br />
とある精霊についての書かれたものだ。<br />
忘却の塔にいた謎の生き物のことだ。<br />
<br />
『ロトゼシアの大地より生まれし、悠久の時間を紡ぐ精霊。<br />
　その名は失われし時の化身。<br />
　失われし時の化身が守りしは刻限を司る神聖なる光。<br />
　その光、輝き燃ゆる時、失われたものが大いなる復活を果さん』<br />
<br />
　時の化身。この神の民の里の壁画にもある。<br />
忘却の塔に登る生物、あの手だけが異様に細長くうねうねしている白い餅みたいなもののことだろう。<br />
セニカを囲い同じような時の番人に姿を変えさせていたことが印象的だ。<br />
<br />
「時を司るって言うのは分かるけど、失われたって何？」<br />
　壮大過ぎる話ではあるが、こちとら邪神をも相手にしたのだ。<br />
それぐらいは許容範囲内である。<br />
「時間がなくなるってことでしょうか？」<br />
　時というものは普遍的に一応に刻まれるものだという認識はある、それが無いというのは、セーニャは年齢という時を吸い取られた姉のベロニカを見る。<br />
「お姉様みたいに時を取られてしまったのですか？」<br />
「&hellip;あのねー。確かにあたしの肉体的にはそうかもしれないけど、セーニャと同じ時は過ごせているわよ？」<br />
　失っているわけでは無い。この手の文章はどうとでも取れそうなのが混乱を招く元である。<br />
しかし資料はそれしか無く、ここから考察していくしか無い。<br />
<br />
<br />
「マヤか&hellip;」<br />
　年齢に関して思い起こすのは黄金の呪いで身体が金になり、五年の歳月を過ごす羽目になった妹。<br />
勇者の力で元に戻ったがその間の五年は成長せずである。<br />
「確かに時は止まっていたでしょうけど、それは失うというより飛ばされたと言う感じよね」<br />
　確かにマヤの時は止まっているのであって、五年間が失われたわけでは無いか。<br />
と言うことは、どう言うことだと、考えるのが苦手な頭で考える。<br />
情報ありきでの経路を考えたり作戦を立てるのは得意な方だと思うが、こう言う筋道を立てて証明していくカテゴリーはどうも苦手である。<br />
「本来あるべき時間が途切れるってのはどうだ？」<br />
「適当に言えばいいってことじゃないのよ？」<br />
　言いたいことは分かるけどと、ダメ出しに渋い顔をするカミュを放置して、ベロニカは頭を捻る。<br />
<br />
<br />
　単純に考えるのならばこれ以上時を刻むことができなくなった。<br />
天命を受け、生命の大樹へと還ることと捉えることができる。<br />
つまり、死である。<br />
しかし大樹に行くことができない魂がなおも刻むことができない時を紡ごうとして化身となったのだろうか。<br />
だが、そうなると悠久の時間を紡いでいると言う一文の説明ができない。<br />
それに守っているのは限られた時間と言う光。<br />
光があの複雑な光沢を持っているオーブだとして、時を溜めるオーブを割ることの意味。<br />
そして、先ほどのカミュの言葉。<br />
<br />
「まさか、失われた時って&hellip;起こるはずだった時間？」<br />
<br />
　ベロニカが言葉を発した瞬間、カミュとセーニャは共に番人が紡いだ言葉がフラッシュバックする。<br />
<br />
『時のオーブとは、失われた時の化身が遥か古より、紡ぎ続けたロトゼタシアの時の結晶』<br />
　忘却の塔にあるサラサラと流れ落ちる時の砂は時の化身が紡ぐ時を待っている。<br />
時の化身の正体は遥か昔より、取り残された記憶の具現化。<br />
『その時のオーブを壊すことで時空の流れが乱れ、全てが過去に巻き戻るのです』<br />
　壊し破片となったものは次の化身を生み出す。<br />
新たに生まれた化身は本来紡ぐはずだった時を糧に新たな時を紡ぐ。<br />
<br />
「今のは&hellip;」<br />
　カミュはチカチカする視界に目尻を抑え、動揺する心を落ち着かせる。<br />
「&hellip;失われる。行く場所がなくなった時間という意味でしょうか？」<br />
　セーニャは言葉の意味を理解できず眉を潜めて、周囲を見渡す。<br />
既に見慣れた神の民の里の一室で、先程の情景は浮かんで来なかった。<br />
<br />
<br />
「ちょっと！　なんなの？」<br />
　突然、動揺しだす二人に怪訝な顔を見せるベロニカ。<br />
「お前は見てねーのか&hellip;っ！？」<br />
　なぜ彼女がその光景が見れないのか&hellip;その結論に達した時、心の底から否定したくなった。<br />
やり場のない怒りと悲しみ、思わず拳をすぐ横にあった壁に叩きつける。<br />
「何よ？」<br />
「何でもねーよ。確かな事は彼奴が&hellip;イレが時を渡ってここにいるって事だ」<br />
　話題をすり替えるように今重大な方を告げる。<br />
言われてみれば、死に際に魔王がそんなことを言っていた気がする。<br />
意味が理解できず考えることを放棄していた。<br />
「ど、どう言うことよ！」<br />
「詳しくは分からねぇ。だが、セニカがやったように彼奴も時のオーブを破ってここにいる。だから、俺らの知らない事を多く知っていたんだ」<br />
　何の根拠のない戯言と笑い飛ばしたい。<br />
時空を超える何て馬鹿な事をしたのだ。<br />
だが、セニカを救うと言う意味が少し分かった気がする。<br />
彼はローシュに会わせる為に彼女を過去に送ったのだ。<br />
「な、何でそんな事をしたのよ。何がイレを突き動かしたって言うのよ！」<br />
　しかし、仮にそうだとしても、時を超える何て生半可な事、余程じゃない限りするわけが無い。恋人を殺されたセニカ程の動機が必要だ。<br />
「それはお姉様、お姉様が&hellip;お姉様が&hellip;&hellip;」<br />
　長いスカートを皺になるぐらい握りしめ、泣かないように必死に堪える。<br />
しかし、喋ろうにも込み上げる嗚咽が喉を詰まらせる。<br />
「セーニャ？」<br />
　異様な反応を見せるセーニャに戸惑いながら、近付く。<br />
そんなベロニカの混乱を他所にセーニャは叫ぶ。<br />
「っ！　お姉様、私は一度、髪を短くしたことがあります！」<br />
　叫んだ拍子に目尻に溜まっていた雫が宙を舞う。<br />
一瞬の静寂があたりを包み込んだ。<br />
「&hellip;え？」<br />
　戸惑う。生まれてこの方セーニャもベロニカも毛先を揃えるぐらいしか髪を切ったことはない。<br />
それはラムダに伝わるあの儀式があるからである。<br />
想いの人を見送るために、焚べる炉に差し出す髪の長さは想いの強さを表す。<br />
「でもそれはお姉様の知らない事実」<br />
　なぜ知り得ないのか、そこにベロニカの存在がない。<br />
あの時、ウルノーガを倒した時、なぜかこう思ったではないか。<br />
『今この場にいることが途轍もなく幸せな気がする』<br />
　そう思ったではないか、あの時イレはどんな表情をしていた？　嬉しい中に安堵するようなそんな表情をしていなかったか？<br />
<br />
<br />
「悪い。どう説明したら良いか分かんねぇ。ただ言えることは相棒が求めたものにベロニカお前も関わっていたってことだ」<br />
　確信しているであろうカミュが言葉を濁す。<br />
ベロニカ自身の為に危険を冒してたと言うのだ。<br />
「そんなの認め&hellip;」<br />
「お姉様！　お姉様が自らの身を犠牲にしたから！！」<br />
　仕方がなかった。ああするしか解決方法が思いつかなかった。<br />
そう何度も言い聞かせても、何もせずに気を失っていたことにセーニャは押し潰されそうになっていた。<br />
だけど、生き残ったものの責務は果たさねばならない。<br />
その意思で、その意思だけで使命を全うしていたのだ。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;本当のようね」<br />
　何納得してるのよ。何バカなことを&hellip;。<br />
大樹から勇者を守る使命を帯びたその時から、覚悟の上だった。<br />
なのにそのことを不服として、危険な賭けに出たと言うのか。<br />
「もう馬鹿なんだから、でもまあ、あたしは今生きているわ。イレとあなた達のお陰でね」<br />
　こんな遣る瀬無い笑みを浮かべたのはいつ振りだろう。<br />
歴史は変更された。<br />
そして戻されたことで、行き場がなくなったその時間が時の化身となったのだろう。<br />
「そうですね。今お姉様は生きています」<br />
　同じように今この時間をありがたく思い、笑みを浮かべる。<br />
「時の化身と関わることでその失われた時の記憶が戻ると考えても良さそうね」<br />
　カミュがセーニャが&hellip;そして死ぬ直前の記憶を朧げながら戻したベロニカ。<br />
目に見えぬその化身が力を貸してくれている。<br />
<br />
『その光、輝き燃ゆる時、失われたものが大いなる復活を果さん』<br />
　光とは巻き戻されて行き場を失った時間。<br />
復活とは記憶が蘇ることである。<br />
仮説を通り越して妄想だが、その説でどこかスッキリした気がした。<br />
<br />
<br />
「セニカ様は時の番人になっていましたわ。と言うことは一度、セニカ様も時を失ったと言うことでしょうか？」<br />
　視線を外し、まだ分からない疑問が残っているとセーニャは問う。<br />
読み解くことができない難解な言い回しに首を傾げるしかない。<br />
砕き損ねて、力尽きたセニカ。<br />
そのセニカをなぜ時の化身は番人に仕立て上げたのだろう。<br />
解けない謎はまだ多くある。<br />
<br />
「&hellip;取り敢えず、ここで俺たちが取れる情報はここまでだ。戻るぞ」<br />
　すっかり衝撃的な事実を突きつけられたのにあっさり納得して受け入れた双賢の姉妹に遅れながらも、見えた事実を仲間&hellip;そして相棒に確認したいとカミュは思った。<br />
<br />
　許された存在。]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-6</link>
    <pubDate>Fri, 18 Nov 2022 14:00:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">r3dqxxx.game-ss.com://entry/36</guid>
  </item>
    <item>
    <title>混乱の中で読み解いて</title>
    <description>
    <![CDATA[思ったより時間を食ってしまったが、ロウ達は無事に古代図書館に着いた。セニカが調べていた場所のイメージを頼りに上層部へと向かう。<br />
一度解いた仕掛けはリセットされており再び登るには苦労した。<br />
幸いここのモンスターは邪神の影響を受けておらず一人でも対応できる強さであった。<br />
<br />
「これで予想がある程度、補えたのう」<br />
　一冊のボロボロの本を閉じ、やはりそうかと呟いたロウ。<br />
「本の世界とは違う。恐らく現実の世界の時を渡ると言うものじゃろう」<br />
「&hellip;&hellip;ロウ様。と言うことは、イレが勇者の力をセニカに渡し、勇者の剣で砕いたあの玉は&hellip;&hellip;」<br />
「そう、時空を越えられる力じゃ」<br />
　セニカがローシュに会いたいと言っていた意味から考えて、あの時、砕いたのは時の宝珠と呼ばれる玉。<br />
それは時を渡る力がある。即ち、あの時、無事にセニカが戻ることができたのなら、歴史は変わるはずである。<br />
　<br />
　ああ、イレが言っていたセニカを救うとはそう言う意味だったのかと納得しかける。<br />
「ちょっと待って下さい、どうしてイレはそのことを知っていたのですか？」<br />
　いや、口に出しつつも予想できた。船でシルビアが懸念していたことが現実味を帯びてきた。<br />
「考えたくないけれど、イレちゃんもそれを実践したってことでしょうね」<br />
　思わず口を抑えてしまう。セニカが手にしていた本を探しながらも思考がグルグルする。<br />
「何故そんな事を&hellip;&hellip;」<br />
「セニカちゃんはローシュちゃんの為だったわね」<br />
　邪神討伐の直前に殺されたローシュと再び会うために、ローシュの蘇る術を知る為に、セニカはここを訪れた。そこで見つけた一冊の本。<br />
<br />
「それがこの『禁じられしチカラ』」<br />
　暫く、パラリと捲る音だけが木霊する。大方ロウの予想通りのことであった。<br />
『禁じられし聖なる光の力。時の宝珠砕き戻ることは、世界の秩序、乱しえる』<br />
　聖なる力は勇者の力。読み進めて行くとその行為がいかに危険であるかが分かる。<br />
一つ、予想と違ったのは宝珠の役割である。時を貯める貯蔵庫の役割を担う。その時を貯める宝珠を砕く事で貯めていた時間が虚無へと還る。よって、その時間は無くなり過去へと戻る。<br />
「消え去る時か。もし、イレが実践していたとしたら、貯めていた時を砕き無きものにした事でここに戻って来たと言うことじゃろう」<br />
　古くボロボロで擦り切れており、多くを読み取ることができない。擦り切れた文字は何が書かれていたのか前後で推測するしかない。それもそうだろうセニカの時代から遥かに年月を経てここにいる。<br />
「これだけの数じゃと管理も大変じゃな。残っていたのが奇跡か」<br />
　一度上を向いて落ちた視力を回復さす。<br />
「ロウ様これは関係ありますか？」<br />
　ロウが読み解いている間、マルティナとシルビアは他に関連するものがないかと膨大な本棚を漁っていた。そして見つけたのが、古代の文明と書かれた本である。<br />
これも先程の本と同じで、所々擦り切れた一部にセニカがいた塔のことが書かれている。<br />
『古の時代、時の民集いし忘却の塔は遥かなる時を失われし化身、文明築く』<br />
「セニカちゃんの時代から古代だったの！？」<br />
　思い出すは神秘的な塔の内部、まるで時に置き去りにされたように磨耗することなく動き続けている機械。サラサラと流れ落ちる砂、噛み合い動く歯車は今尚、時を紡ぎ続けている。<br />
「恐らくは精霊の力じゃろう。そう時を司るものもおったのじゃろう」<br />
　見つけたもう一つの書物。<br />
『本書の筋は目に見えぬ世界。この世のありとあらゆる物に宿り、微かな道を示す精霊たちの事だ。例えばそう、時の化身もその一つである』<br />
　ありとあやゆるものに宿る精霊。あの忘却の塔はその中で時の精霊がいたのであろう。<br />
「&hellip;&hellip;それはあの神の民の里で壁画に描かれていた時の化身？　セニカを時の番人に変えた」<br />
　丸っこい体に長い手を天に伸ばしている愛らしい姿。確か勇者には世界に散らばっているその姿が見えると言う。彼は一切そう言うことを言わなかったが、時より何かをじっと見つめている時があった。大樹の映像で見たあれが時の化身なのだろう。<br />
<br />
「他の人の意見が欲しいのう。この図書館で分かるのはこれぐらいじゃろうて」<br />
　古代文字を読み解いたが、これ以上の利益は見込めない。グレイグがいると言えども、孫をあまり放置していたくない。神の民の里に行ったチームにもいい情報が有れば良いのだが&hellip;&hellip;。<br />
少し焦る気持ちがある。意識を取り戻した孫が何かをしでかすのではないかと。<br />
<br />
「ロウ様、大丈夫です。今イレは手の届く場所にいます」<br />
　生存すら危ぶまれた十六年間の時ではない。ちゃんと生きていてくれていた。手助けできる位置に留まってくれていたのだ。そっとロウの肩に手を置いてくれるマルティナ。<br />
一番絶望した時に側にいてくれた孫いや娘。過去を振り返る余裕を無くす程に辛く厳しく育てた。それに答えるように生きる意志を強く食らいついてくれた事が自己の生きる意味の一つのなり、醜く歪むのを留めてくれた。<br />
「そうね。今度はちゃんと止めなきゃね。もう十分、頑張ったって」<br />
　シルビアも何もできなかった悔いはしたくない。時折混ざる心が潰れそうな場所から這い上がってきた真っ直ぐな硬い意志を持った瞳。彼の意思は強い。けれど、こんな想いはもう沢山だ。<br />
「良い考えじゃな」<br />
　目を細め、あるはずのない悔いに蓋をする。<br />
「&hellip;&hellip;戻りましょうか」<br />
　マルティナの言葉で皆頷く。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　ロウは今一度古代図書館を見上げる。<br />
来て良かった。孫が覚醒してからでも良いかと思ったが、あの子の行動が読めない今、先に考え導ける材料が欲しかった。やはりこの古代図書館には膨大な叡智の本がある。お陰で、随分と脳の中のモヤモヤがスッキリした。<br />
　あくまで仮説だが、ロウは一つの結論に達することができた。それを裏付けるように未体験なのにフラッシュバックする記憶をすんなり受け入れ、認めることができた。勇者の苦悩とその先を&hellip;&hellip;。<br />
そう。この過ぎる記憶は『失われた』時の化身が生み出したもの。この先の未来であり、一度経過した過去である、訪れなかった時間。<br />
<br />
　しかし、勇者である孫がこれ程までに過酷な人生を歩むとは、生きているだけで良いと思っていたが、余りにも辛すぎる。<br />
疾うの昔に麻痺したと思っていた感情が噴き出す。ここまで長生きした罰か、若い者が死に急ぐ姿はもう見たくないと言うのに&hellip;。<br />
『僕の勇気はロウじいちゃんから貰っているんだ』<br />
　冥府に行ってまで、倒すことを誓った執念。エレノアとアーウィンの生き様はロウの心が生き継いでいたのだ。更にロウの叡智は皆を勇気付けていたと。未来の孫は嬉しそうに語る。<br />
イレや。<br />
それは強さではない。生きる意味を、生き残ってしまった意味を探して、自己の心を守っている痩せ我慢に過ぎない。この老いぼれは生きる意味を見つけなければ生きて行けぬのじゃ。<br />
<br />
<br />
<br />
過去への渇望]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-5</link>
    <pubDate>Tue, 09 Aug 2022 14:00:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">r3dqxxx.game-ss.com://entry/35</guid>
  </item>
    <item>
    <title>酷な運命を受け止めて</title>
    <description>
    <![CDATA[ケトスに揺られながら目指す神の民の里。<br />
金色に輝くそれは、猛スピードで飛んでいるのにもかかわらず風の影響を然程受けず、彼の背に立ち続けられるという不思議な力が作用している。<br />
ケトスが一回転しても平気というのも摩訶不思議だ。<br />
こう何度も不思議な経験をしてきた為にこう言うもんだと何も気にせず乗り回している。<br />
全く人というものは何と図太いものだろう。<br />
<br />
「どうしてこんな事になったのよ！」<br />
　ベロニカは小さい体を震わせながら、奥歯を噛みしめる。<br />
勇者を守り導く使命であるはずなのに、勇者が倒れて何もできない事が許せない。<br />
人の形をしているが人ではない双賢の姉妹。<br />
いや、人ではあるが人から生まれていない存在と言うべきだろうか。<br />
兎にも角にも命の大樹から使命を授かった特異な姉妹である。<br />
だからこそ、大樹に選ばれた勇者に対する思いは人一倍強い。<br />
「あたしはイレに生きてもらわなきゃダメなのよ！」<br />
「お姉様、落ち着いてくださいませ。イレ様が目覚めないわけではありません。日々、戦いの連続でしたから、ただの疲れです。きっと大丈夫ですわ」<br />
　双子の妹であるセーニャは姉のベロニカがすごく動揺しているように見えて、首をかしげる。<br />
何かに怯えているような、勇者が倒れるその状態に追い詰められているようにも感じる。<br />
そう言えば、雪の覆うミルレアンの森で一度イレが魔女に襲われて氷漬けの危機に陥った時も、このように非常に焦っていた。<br />
いや、今回より原因がはっきりしている前回の方が落ち着いていたかもしれない。<br />
「怖いのよ。このままイレが帰って来ないような気がして&hellip;」<br />
　それは&hellip;確かに昏倒した理由が分からない。<br />
分からないのに今現在意識のない彼がもう二度と目を覚まさないのではないかと言う恐怖が襲う。<br />
「そんな事&hellip;」<br />
　否定したくてもロウと治療に当たったセーニャには完全に否定できない要素を知っていた。<br />
精神的に弱っている、魔力が極端に少なくなっており、それを補う為に人間の生命力にまで食い込んでいたのだ。<br />
外部から魔力を補う応急処置で現在の状況まで持ってきたといってもいい。<br />
ロウがイレの回復を待つ間、皆でくつろぐより前にこの原因を究明しようと動き出したのにも理由があるのだ。<br />
<br />
「こんなことになるって分かっていたら、あたしが代わりに&hellip;っ！」<br />
　ベロニカは最後まで言葉を発することができなかった。<br />
セーニャに抱きしめられたのである。<br />
「お姉様、それだけはやめて下さいませ」<br />
　唇が震えて、喉の奥から冷え切った恐怖が襲い上手く声にならない。<br />
それだけは、それだけはしてはいけない。<br />
「ちょっと、セーニャ。あなた何泣いてるのよ！？」<br />
　考えないように、考えないように蓋をしている思い。<br />
肯定したくない出来事。<br />
あれはタチの悪い夢である。<br />
だって、お姉様はこうやって抱きしめることができる。<br />
触れようとすると消えてしまう存在ではない。<br />
<br />
　お姉様は生きている。<br />
<br />
「私とお姉様は同じ葉の下で生まれた存在です。決して先に逝くなどとおっしゃらないでください」<br />
　もう二度と目を離さない。迷わないための道しるべなんて要らない。独りにしない配慮ももう沢山だ。<br />
「えあ、そのセーニャ？　確かにあたしも言い過ぎたけど&hellip;あたし死ぬつもりなんてこれっぽっちもないわよ？」<br />
　想像以上の過激な反応に目を白黒させる。<br />
本当にどうしたのだろう。<br />
魔力が足りないと言うのなら、ベロニカの方が体内に溜めておける魔力が多いのだから、直ぐさま分け与えてもいいと言う心意気だった。<br />
実質はロウがそれをになっていたので、出る幕では無かったと言うだけの話である。<br />
「そ、そうですわね」<br />
　はたと冷静になればなんと恥ずかしい早とちりである。<br />
抱きしめていた腕を慌てて外し、見当違いの心配に頬を抑えて恥ずかしがる。<br />
基本セーニャはマイナスの方向に考えることをまずしない。<br />
心優しい彼女はそうすることで自身の心が傷つき朽ち果てるのを防いでいるのだ。<br />
だからこそ、姉であるベロニカは傷つく要素がある物を持ち前の気の強さで先に粉砕しているのだ。<br />
だが、今回は何時ものそれではない。<br />
彼女がマイナスの方向に言葉を捉えたのである。<br />
「セーニャ、何があったの？」<br />
　訝しげに尋ねるも一度落ち着いたセーニャは首をかしげると言う反応になってしまった。<br />
あの涙の訳を聞くことはできないだろう。<br />
封印されたマイナス思考。<br />
「何がでしょう？」<br />
「ううん。何でもないわ」<br />
　抱きしめられたことで皺になったスカートの裾を払い視線を前方に移すと、もう目の前に神の民の里が見えてきた。<br />
<br />
「ベロニカ」<br />
　今まで我関せずとしていたカミュが不意に声をかける。<br />
怪訝に思いそちらを見ると、なんとも言えない顔をしているではないか。<br />
そのことに再度驚く。皆イレの事で動揺しているようだが、冷静なカミュまでも何かがおかしい。<br />
「何よ？」<br />
「いや、妹ってのは案外強いし、強かだぜ。だけど、経験しないで済むならそれに越したことはねーよ」<br />
　言葉に出してから、あー何言ってんだ俺と言うように、頭を左手で搔きむしり、今のは忘れろと言うようにひらひらと手を振る。<br />
その先の疑問は神の民の里についてしまい、うやむやになってしまった。<br />
<br />
<br />
　あの時、カミュは抱きしめて訴えるセーニャを見つめながら、ありえない光景がいくつかフラッシュバックしていた。<br />
手を伸ばす妹のマヤ、それを一度拒んだ後悔が再び再現される。<br />
ずっと側に居ると思っていたのにあの首飾りが全てを狂わした。<br />
そう、いつどこで何が起きるかわからない、ずっと共に過ごせる保証がどこにもない。<br />
どこかで甘えていたのだ。<br />
大丈夫だと死ぬはずがないと&hellip;&hellip;？　誰が？<br />
<br />
（マヤ？）<br />
<br />
　金色の蔓が襲い掛かるそれを避けながら、今度は苦しそうに伸ばすマヤの手を掴む。<br />
金色に体が変わることも気にせず抱きしめる。<br />
そこでマヤの意志の力が土壇場で発揮し、黄金に染まる事なく救い出すことに成功した。<br />
あぁ、これで俺の贖罪は果たされた。<br />
カミュはそこまで考えてゾッとする。<br />
「おいおいマジか」<br />
　思わず声に出た。そこから、現実に意識が戻りほっと胸をなでおろす。<br />
元気よく『にししっ』と笑うマヤ。<br />
勇者の力により無事に助け出された。<br />
悪い夢を見たと言う彼女を抱き締めて温もりを感じる。<br />
もう離さなくていい、その嬉しさがこみ上げる。<br />
<br />
　結果的には『やる事やって戻って来い』と尻を叩かれた。<br />
幼い幼いと思っていた妹は何時の間にか強く成長していた。<br />
受けた恩は義理で返す。<br />
『もう返して貰っている』と笑う相棒にカミュ自身の気が収まらないからと、邪神に戦いを挑むのに付き合った。<br />
<br />
　もう、そばにいる必要はない筈だ。<br />
しかし、何故か心の底にある蟠りが解けない。<br />
（マヤすまん。もう少し待っててくれ）<br />
　にししっと、腕を頭の後ろで組み『しょーがねーなー』と元気よく笑う姿が思い浮かんだ。<br />
<br />
<br />
代償の効かぬ少女]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-04</link>
    <pubDate>Wed, 13 Apr 2022 14:00:00 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>暗黒の地底から輝きて</title>
    <description>
    <![CDATA[「概ね順調よ！」<br />
　舵を取りながら、順調な滑り出しで安堵する。外海に出てゆっくりと北上する船。<br />
この航海は皆の心を落ち着かせるのに十分な時間であった。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;」<br />
　マルティナは甲板を拳で叩く。確かに今の彼は勇者で、その心も体も相応しい。<br />
だけど、邪神を倒した後もなぜここまで心身に負荷を掛けているのか。<br />
彼にこれ以上何を救えと言うのだろう。<br />
「ロウ様、自分が悔しいのです。結局、見ているだけしかできていません」<br />
　ロウのような深い知恵も絆もない。<br />
でも、大好きだったエレノアの息子で、居場所を失ったマルティナを大事に育ててくれたロウの孫である。<br />
「弟のように守って行きたいと思っていたのに、私は守られてばかりでした」<br />
　あの時、離すまいと誓って、腕の中で眠る彼を強く抱きしめた。今は側にいるのにとても遠い。<br />
必死に明るく言葉をかけると彼は目を細めて同意はしてくれるが、どこか懐かしいものを見るようなそんな反応なのだ。<br />
<br />
「分かるわぁ。あの子始めは皆の後ろをひょこひょことついてくる感じだったのに、何時の間にか一人前に出て皆を引っ張っていく感じになっていたわね」<br />
　アリスと舵を交代したシルビアは悔やむマルティナに同意する。<br />
勇者だから成長せざるおえなかったのか。それとも他に何か要因があったのだろうか。<br />
それはあまりにも急激な変化だった為に、マルティナが皆が少し置いていかれたような気持ちになってしまった。<br />
「イレちゃんはイレちゃんのままなのにどこか歪なのよね」<br />
　どこが何がと言えないもどかしさがある。<br />
<br />
『&hellip;世界は救うもの。その力があるのなら諦めない』<br />
<br />
　ウルノーガ以上の存在が露わになった時にそう言った彼はとても力強く頼もしかった。<br />
勇者というのはこれ程までに強くなるものかと驚いたと同時に、年の離れた青年がそうせざるおえない状況に心を痛めたものだ。<br />
「ねえ、シルビア。あなたはどこまで気付いているの？」<br />
　真っ直ぐに見据えるマルティナは救えぬ後悔をする少女ではない。<br />
何があっても、どんなに過酷であろうと、何度でも手を伸ばす覚悟を持っている女性である。<br />
<br />
「こんな事、憶測で言うものじゃないって分かってるのだけど」<br />
　その目を受け、シルビアは心に引っかかっていることを口に出した。あの子の側では言いにくかった、とある事に関してだ。<br />
「アタシね。とっても怖い夢を見るのよ。うーん。単なる夢で片付けると少し変な気持ちになるの、考えたくないことが夢に出ちゃったとでも言えば良いのかしら」<br />
　要領の得ない言い方。伝えることを決心したのは良いが、この抱えた気持ちをどう説明すれば伝わるかを模索しているようにも見える。<br />
　そう、この現象を『夢』と言っていいのだろうか、この感覚は夜寝ている時に起こっているわけではないのだ。<br />
しかし、白昼夢に近いことから敢えて『夢』と表現したに過ぎない。<br />
語るシルビアにロウ、マルティナも静かに聞き耳を立てる。<br />
<br />
「命の大樹に登った後、イレちゃんが持ってきてた剣が無ければ、アタシたちどうなってたのかしらね」<br />
　あり得ない仮定。もしもは起こらない、だとしても、ほんの少しそちらに意識を向けるだけで、どこか鮮明に蘇る敵わなくて全てを失う恐怖。<br />
「まさか、そんな&hellip;」<br />
　マルティナは思わず額を抑え蹌踉めく。<br />
敢えて考えないようにしていた。想像すればするほど、容易にその時の映像がはっきりと見える。<br />
何もできずに倒れ臥す姿を思い出し、耐えきれなくなる。手を伸ばしても、どうにもならない戦況。<br />
そんな辛い思いをイレはしていたというの。<br />
「まさかとは思うわよ。でもそれならイレちゃんの痛み、執念に納得できちゃうのよ」<br />
　世界を護れなかった。誰も救う事ができなかった。<br />
罪悪感で朽ちていく心を守る為に勇者の力でとんでもないことをしてここにいるのではないか。<br />
<br />
「のうシルビア、わしはお主が思い描く可能性を証明する鍵も古代図書館にあるのではないかと思っておる。大賢者セニカが調べておっただろう。ローシュに会う術を&hellip;」<br />
　セニカが時の番人にならざるおえなかった経緯を鑑みるに、その調べた内容に全ての鍵が握られている。<br />
「それにシルビアお主が感じている既視感はわしにもある」<br />
　だからこそ、立証せねばならん。そこから、孫を救う手立てを導き出す。ロウの真剣な眼差しにシルビアは笑みを深くする。<br />
「そこに答えがあるのなら、イレちゃんの為にも逃げるわけには行かないわよね」<br />
　マルティナに陽気なウインクする。手がかりがないわけじゃない、希望がないわけじゃない。<br />
それを見たマルティナも笑みを見せてくれた。<br />
「そうね」<br />
　笑い合った後、シルビアは胸に手を当て誓う。彼には何度も救われた。<br />
掲げた騎士道に自信がなくなった時に、彼は尊敬していると言ってくれたのだ。<br />
『シルビアのお陰で、皆を笑顔にすることの大切さを知ったんだ』<br />
　絶望の中でもパレードで笑顔にする事ができるシルビアの強さが理想だと。そうして、パパに会う勇気をもらったのだ。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;まただわ」<br />
　現実に起こっていないだけれども心に深く刻まれている記憶。これはいつの感覚だろう。<br />
絶望の中の希望。あの子はいつでも太陽であった。<br />
<br />
<br />
地の底からの希望]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-03</link>
    <pubDate>Sat, 08 Jan 2022 14:00:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">r3dqxxx.game-ss.com://entry/33</guid>
  </item>
    <item>
    <title>記憶の欠片が交差して</title>
    <description>
    <![CDATA[「あ、イレだけだったわ。ルーラ使えるの。ケトスで町に降りたら大変なことになりそうだし&hellip;」<br />
　塔の出口を出た時にここは絶壁の陸の孤島であったことを皆が思い出した。<br />
「つーかベロニカ。何でお前ルーラ使えねーんだよ」<br />
　彼女だけを責めたいわけではないが、崩れるように気を失ったイレは、セーニャやロウの簡易診察でどこも異常がなく『疲労がたたったのではないか』と言う。<br />
　今もただ眠っているように感じた。<br />
それでも何故か、もう二度と目を覚まさないのではないかと言う不安が皆を襲っている。<br />
その無意識の不安が焦りを生む。<br />
「仕方がないでしょ！　物事には素質ってもんがあるのよ。あたしは方法を伝授しただけ、あの一瞬で覚えたイレの方が特殊なの！」<br />
　杖を地面に打ち付けてキッとは向かうベロニカ。<br />
呪文が使えないのが悔しいと思うのは彼女だけではない。<br />
「アンタだって、リレミトを覚えているんだから一番、素質あるはずよ！」<br />
　グレイグにより抱きかかえられているイレを心配する余り言葉が乱雑になる。<br />
「マジかよ」<br />
「取り敢えず、キメラの翼で帰りましょう。どこを指定してましたっけ？」<br />
　久しく放置していた物を取り出し、どこであろうと町に着くだろうとみんなの確認を取らずにセーニャは放り投げる。<br />
「セーニャ、あなた！　&hellip;あっ」<br />
　ベロニカの制止も間に合わず一定範囲にいた皆が一斉に飛ばされる。<br />
<br />
　冷静なようでいて皆が皆、想定外の出来事で戸惑いが強かったのであろう。<br />
一種のメダパニ状態言うべきだろうか。<br />
言葉を発しなかった残りのメンバーも冷静に対応しなくては、と言う強い意志で沈黙していただけで、脳内は存分に大パニックに陥っていた。<br />
何故、そこまで冷静でいられないのか自身では理解できないでいる事に、さらに混乱を引き起こしているのである。<br />
<br />
「と、取り敢えずは安心よね」<br />
　そう言えば最後に訪れたのはここだったなと、ものすごいいたたまれない気持ちにもなりながらダーハルーネの町の宿屋にイレを寝かす。<br />
彼は相変わらず涼しい顔をして、懇々と眠り続けている。<br />
「あの塔は余り良い気分ではないですね」<br />
　セーニャはイレの手を持ち悲壮な表情を見せる。セニカの生い立ちの所為だろうか、神聖であるはずの、あの場所はとても悲しい所のように感じている。<br />
「そうじゃのう。あそこは何なのか今一度確かめる必要がありそうじゃ」<br />
　イレが目覚めない今、様子を見ると共に何かできることを探そうと、ロウは考える。<br />
「じいさん。心当たりでもあるのか？」<br />
　カミュの言葉にイレを見ながら首を横に降る。<br />
「これと言う当てはない。じゃが、イレの言っていたことが気になってな」<br />
「ローシュの行方だったかしら？」<br />
　マルティナは思い出すように腕を組み人差し指を頬に当てる。<br />
倒れる前に発した言葉の真意が確かに不明だ。<br />
セニカが無事に会えたかなと言う意味合いなら合点が行くが、そうではなくローシュがどうなったかを心配していたのだ。<br />
「うむ。元故郷であるユグノアには殆どの資料は残っておらんだろうが、わしらより長寿の神の民や、生前セニカが調べておった古代図書館に資料や何かが残っておるじゃろう。そこから調べはじめようと思う」<br />
　やれやれ、ゆっくりするつもりがなかなか骨が折れる。<br />
「なら、ケトスちゃんを使うチームと私の船ちゃん、シルビア号を使うチームに取り敢えず別れて見てはどうかしら」<br />
　パチンと手を合わせシルビアは提案する。<br />
ルーラは使えないが船はあるのだ。<br />
邪神が倒された今、魔物にそこまで気を張らなくても良いだろう。<br />
「善は急げってことね」<br />
　ぴょんと椅子から飛び降りたベロニカはイレの鞄から笛を取り出す。<br />
どうやら神の民の里に行く方を選択したようだ。<br />
そこから、皆一斉に動き出した。<br />
「グレイグ、あなたはイレを見張っていてね」<br />
「はっ！　て、姫さま！？」<br />
　命令とあらばと言いかけて立ち止まる。<br />
まさか自分が残ることになるとは露程にも思わず目を白黒させる。<br />
治療の知識に長けているセーニャかロウが残る方が良いのではと焦る。<br />
「勇者の盾なんでしょ、ちゃんと守ってね」<br />
　ウインク一つで捩じ伏せられて、助けを求める手は宙に浮いて、部屋の扉が閉まるのを見送ってしまった。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　いつまでもその場に固まっている場合ではない。<br />
大きく溜息をつき、ベロニカが座っていた椅子に腰を掛ける。<br />
八人の旅は結構喧しく、その原因の皆が出て行くと残ったこの場所に静寂が包み込む。<br />
ポッと出た休みに、ずっと動きっぱなしで敢えて考えないようにしていたことが過ぎる。<br />
「俺とお前は一度二人旅をしたことがある気がする」<br />
　謎の感覚。記憶でない別のところでしっくりくる感覚である。<br />
戦っている時に感じる阿吽の呼吸と言うべきか、当初からどう動けばいいか頭で考えるより体で動いて居たのだ。<br />
更に神の民の里で力をもらった時にその意識が著明になった。<br />
邪神の所為でゆっくり考える事を放置していた。<br />
この感覚は理屈で罷り通らない、喉の奥に骨が刺さっているような気持ち悪さである。<br />
その感覚はイレとだけではない。<br />
デルカダール王&hellip;いや、ウルノーガにホメロスが理不尽にも倒された時、何故と戸惑う中にゆくゆくはこうなることが分かっていたように思う。<br />
もう少しそれに気づくのが早ければ&hellip;手を差し伸べることができたのではないかと言う期待は裏切られた。<br />
<br />
　そんな想いの中。<br />
最後まで分かり合う事ができなかった後悔が押し寄せる。<br />
どんなに言葉を並べても互いに上滑りする。<br />
信念の違いだろう。<br />
互いに羨ましく相手になりたいと渇望した。<br />
所詮無い物ねだりの愚かな考えだったのだ。<br />
主を信じ従う。<br />
考える事を放棄したことで招いた罪の重さが胸を締め付ける。<br />
<br />
「&hellip;俺は何を考えていた？」<br />
<br />
　白昼夢から目覚めるようにクリアになる視界。<br />
分かり合うも何もグレイグが闇に落ちた事を知ってから、ホメロスとまともに会話する時間など無かった。<br />
<br />
　最終的にグレイグが理解したのはウラノスの例だ。<br />
闇の力と言うものはそこまで魅力的に映るものなのだろう。<br />
ホメロスもその力を求めてしまった。<br />
勇者が選ばれしものであったが為に選ばれなかったものが狂気となる。<br />
<br />
「狂気的に力を求めることは恐ろしいことだ」<br />
<br />
　本物と共にいるとそんな渇望するものではないと気付いただろうに。<br />
<br />
記憶の奥底にある沼]]>
    </description>
    <category>DQ11</category>
    <link>https://r3dqxxx.game-ss.com/dq11/dq11-02-02</link>
    <pubDate>Sun, 12 Sep 2021 14:00:00 GMT</pubDate>
    <guid isPermaLink="false">r3dqxxx.game-ss.com://entry/32</guid>
  </item>
    <item>
    <title>勇者の叫びが木霊して</title>
    <description>
    <![CDATA[ここは忘却の塔。<br />
勇者の力を得た元時の番人である&mdash;&mdash;嘗て勇者ローシュの仲間&hellip;いや、恋人であった&mdash;&mdash;セニカは『時の器』に向かい躊躇いなく、剣を振り下ろした。<br />
その動作に合わせ、ポニーテールに括られた紫の髪が上下に揺れる。<br />
『時の器』は愛する者と一緒に成ると言う強い意志のもと、粉々に砕かれた。<br />
そして、その勢いのまま四方に散らばりセニカと共に光と消える。<br />
『時の器』と言う『世界の時間』を保存するそれを砕いたのだから、この世界の時の変化は直ぐに起きると思っていた。<br />
しかし、今回は壊れることのなかった剣をゆっくりと拾い上げる間、何も影響がなく、はたと首を傾げざるおえない。<br />
　イレ自身は何も感じなかったが、もしかして既に変化が起き始めているのだろうか、それとも『この世界』は何も起こらないのだろうか。<br />
だとすれば『あの世界』はどうなったと言うのだろう。<br />
後方を振り返るも、今までの現象に心付いていけてないのか皆は黙ったまま呆然としている。<br />
<br />
「前にもこんなことがあった気がするな」<br />
　我に返ったようにポツリと呟く、仲間の一人であるカミュは、そう思う自身を不思議に感じて、辺りを落ち着きがないように見渡す。<br />
イレは仲間のそう言う断片的な言葉に少なからず救われている。<br />
失われたとしても消えていないと言う安堵である。<br />
しかし、それは思い違いだったのだろうか。<br />
<br />
「ローシュはどうなったのかな」<br />
　セニカと無事に再会できたのだろうか。<br />
世界を救えたのだろうか。<br />
皆で救った『この世界』は、置き去りにした『あの世界』は&hellip;。<br />
「どういう意味じゃ？」<br />
　呆然と考えのまとまらない思考で呟く。<br />
独り言のように発した言葉を拾ってくれた祖父は気遣わしげに側による。<br />
この場所は通路が狭く皆が来れない。<br />
動かないイレを気遣わしげに見ているかもしれない。<br />
「ねぇ、ローシュはどうして亡くなった？」<br />
　もしかして、まだ勇者であるが故に時に飲まれていないだけなのだろうかと一番歴史が変わりそうな部分を質問する。<br />
「うむ、確か刺されて&hellip;はて何か忘れているような。亡くなった後、勇者の星となったと言われておるな。しかし、勇者の星は邪神ニズゼルファが封印されとったな」<br />
「それを俺たちは倒したんだぞ？　何か問題があるのか？」<br />
　カミュの疑問に首を横に降る。<br />
そうだ焦ってはいけない。<br />
時間はあるのだから、ゆっくり確かめて行こう。<br />
いつもの様に心配かけないで笑って皆のもとに戻ろう。<br />
セニカを救いたかったのはイレ自身の強い意思でそれが叶ったはずだから。<br />
「どうした？」<br />
　怪訝そうな声。どうしたのだろう。あ、あれ、カミュを見ているはずなのに視点が合わない。<br />
祖父の方を見てもこんなに近くにいるのに&hellip;段々白く&hellip;。<br />
　足でしっかり立っていられなくなった。<br />
フラつく体。セニカに勇者の力を分けるのって結構無茶だったのかな。<br />
なんか胸が物凄く痛いや。<br />
　ああ、皆が叫ぶ声が遠くの方で聞こえる。<br />
<br />
<br />
　時の泡沫。現と夢の合間。<br />
皆が佇むそこに足りない人影、僕とベロニカがいない世界。<br />
セーニャの髪が短く首元が寒そうに感じる。<br />
<br />
　一度、平和になった世界。<br />
一度ウルノーガに破壊されたそれは、悲壮の中でも強く生きるための心を、皆で支え合う絆が生まれていた。<br />
明るい空の下、傷付きながらも訪れた平和をより一層、噛み締めていた。<br />
生きている幸せ、犠牲の中で生きて行く決意。<br />
<br />
（デルカダール王が僕にやって欲しいことが沢山あるって言ってたな）<br />
　イシの村が最後の砦と言う希望の場所になった。<br />
村の皆の強い意志がデルカダールの国を支えてくれていたんだ。<br />
今なら祖父ちゃんの言う『人を恨んじゃいけない』理由が分かる気がする。<br />
母さんにもエマにも何も言わずに来てしまったな。<br />
<br />
（シルビアのお父さんがダンスを極めるって、言った時、シルビアすごく嬉しそうだった）<br />
　シルビアの夢は一端の勇者なんか目じゃないくらい、とてつもなく大きかった。<br />
あの絶望で皆を笑顔にできるパレードの一行を作り上げられるのは、並の精神じゃないと思う。<br />
もう、二度と見れない絆がそこにあった。<br />
消えたけれど別の絆が生まれたから大丈夫だと思いたい。<br />
<br />
（あぁ、ロウお祖父ちゃんに悲しみを背負わせてしまったのか。あの笑顔に何度も救われたと言うのに&hellip;）<br />
　生きているだけで良い。若い者が死に急ぐなと。<br />
何度も何度も大切に抱きしめてくれただろう。<br />
冥府に行ってまでも成し遂げようとする姿と決意は今でも目に焼き付いている。<br />
諦めない心を、祖父の温もりを僕に教えてくれたと言うのに、泣き崩れる祖父を抱きとめることはできなかった。<br />
とんだ親不孝者だ。<br />
<br />
（マヤちゃんは元気だよね。何の柵もなくあそこまで思い詰めなくて、良くなったんだよね）<br />
　自分の仕出かしたことの罪の重さに耐えきれなくなって、兄への思いがグチャグチャになっている彼女は見ていてとても辛かった。<br />
でもカミュが居たから大丈夫だった。<br />
僕も耐えきれなくなりそうだった時、カミュに救われた。<br />
でも結局、逃げたことになるのかな。<br />
<br />
（マルティナもグレイグも優しいよね。逆に自己を責めるぐらいに）<br />
　デルカダールの精神なのかな。<br />
二人とも直ぐに身を呈して僕を護ろうとしていた。<br />
確かにちょっと頼りなかったよね。<br />
でも甘えることを許してくれた。<br />
勇者である前に一人の人であることを許してくれた。<br />
あの時も我儘を聞いてくれて、ありがとう。<br />
ごめんなさい。<br />
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（ねぇ、ベロニカ。僕はセーニャの心を救えたのかな）<br />
　皆の想いの一番奥にある君を救いたいと言う願いの為に求めたんだ。<br />
それだけをバネにした。<br />
時を渡るすべを知った時、ベロニカ以外の人の命も戻って来ると歓喜した。<br />
『あの世界』は勇者として多くのものを取り逃がしてしまった。<br />
一度過ぎた時は後悔しても戻らない、そう思っていたから、皆に支えられて今の自分にできることを精一杯やった結果だったんだ。<br />
そして掴み取った平和。<br />
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「時のオーブとは、失われた時の化身が遥か古より、紡ぎ続けたロトゼタシアの時の結晶」<br />
　時の番人が教えてくれた方法はとても辛い選択になるなんて思わなかった。<br />
勇者の力って何なのだろうと疑問に思っていた。<br />
悪を払う光の結晶。<br />
色々勇者だからできること、勇者にしかできないこと、沢山あったけれど、時を戻せるのは勇者の力のみとは、恐れ入ったよ。<br />
危険もつきまとう。<br />
時の渦に呑まれてしまうと過去に戻れず存在が消滅するらしい。<br />
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「それでも、あなたは失われた時を求めて、過去に戻る覚悟がありますか？」<br />
「はい。僕は、勇者だからこそできると言うのなら、オーブを壊します」<br />
　それが生まれた意味ならば、付き従おう。<br />
<br />
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　確かに今僕は過ぎ去りし時を求めてここに来た。<br />
そして、全ては上手く行ったはずなんだ。<br />
大樹を失い、行く道を失った人々が命を落とすことなく、ちゃんとこの地に根付いた。<br />
大樹も一度も朽ちること無く今もそこに輝いている。<br />
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　でも、やっぱり一度過ぎた時は戻らないんだと痛感した。<br />
繰り返して歩むは別の時間。<br />
後悔はしない。僕の選択は間違っていない。<br />
諦めなかった先に今がある。<br />
同じ状況になっても同じ選択をするだろう。<br />
より良い未来のために&hellip;。<br />
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「また会おうぜ」<br />
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　それでも、少し寂しいのはどうしてだろう。<br />
悲しいと思ってしまうのは何故だろう。<br />
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食われた過去を渇望する代償]]>
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    <category>DQ11</category>
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    <pubDate>Mon, 10 May 2021 12:00:00 GMT</pubDate>
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